対馬も韓国領? 話題呼ぶ「返還要求決議案」 - 2008.7.27



島内の韓国展望所からは、晴れた日には、遠く釜山をはっきりと望むことができる。しかし、眼下には防衛の要、航空自衛隊海栗島分屯基地のレーダー施設が広がっている=上対馬

 【ソウル=黒田勝弘】韓国では日本の中学社会科学習指導要領の解説書に竹島(韓国名・独島)をめぐる日韓の領有権対立を記述したことが「ケシカラン」として“独島反日”が続いているが、その中で与野党国会議員50人による「日本の対馬も韓国の領土だ」とする「対馬返還要求決議案」が発議され、話題になっている。
 対馬(長崎県対馬市、人口約5万人)は九州の北にある島で韓国南端の釜山から約50キロと近く、朝鮮半島とは昔から関係が深い。「対馬も韓国のモノ」というのは、竹島問題にかかわる日本に対する嫌がらせ的な対日報復心理として近年、ユーモア的によくいわれる。
 先年、地方の馬山市議会が島根県議会の「竹島の日」条例に対する“報復”として「対馬の日」を制定したことがあり、今回も「独島死守」を叫ぶ韓国人団体が対馬に出かけ、対馬市庁前で「対馬も韓国領土」と書かれた横断幕を掲げデモする様子がマスコミに大きく紹介されている。

 しかし多数の国会議員が大まじめで国会決議案を発議するなどというのは初めて。正式上程は不明だが、ただ韓国内でも「正当な独島領有権主張までいいかげんに思われる」と批判の声は聞かれる。
 決議案によると、李朝時代の韓国の文献にそう出ているとか、対馬の住民の遺伝子が韓国人と一致するとか、李承晩・初代大統領が「対馬は昔からわが国に朝貢していたわが国の領土だ」と述べたことがあるとか、1949年の第1回国会に「対馬返還建議案」が提出されたことがある、などとしている。
 国際的にはまったくナンセンスな話だが、日韓対立となると韓国世論には竹島・独島問題のように自己中心的な一方的情報しか与えられない。すでに対馬観光の韓国人たちは「対馬は韓国領」と公然と言っているとの話も伝わっている。
 韓国では誰でも知っている大衆歌謡「独島はわれらの地」の作者は最近、マスコミとのインタビューで、歌詞にある「対馬は日本の地」という部分を「対馬もわれわれの地」とあらためるべきかもしれないと語っている。今後、韓国社会では「対馬も韓国領」というあらたな“思い込み”が広がりそうだ。

 今回の韓国の“独島反日運動”は2週間になるが、これまで日本大使館前での抗議デモは延べ約4500人、投げられた卵は約230個。まとまったものでは米国産牛肉反対デモの流れの約1700人が最大で、あとは反日・民族団体など小規模のもので大きな混乱は起きていない。
 反米や北朝鮮問題と違って、反日ではいつものように全マスコミ世論が一致するため、韓国社会は政府ともども久しぶりに「国論の統一」を楽しんでいる。「反日デモなど一応ヤマは越した」(治安当局筋)というが、政治・外交的には振り上げたコブシの下ろしどころがまだ課題として残っている。



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